― ついに、実食の日 ―
みんなでカレーを作って、食べて、次のうまいものへつなげる。
その第一歩を、報告者カレーラスが聞き手セドリックに語ります。
セドリック殿、クエスト報告を申し上げます。今回の任務は「ギルド飯研究部:カレーライスからはじめよう」。つまり、みんなでカレーを作って、食べて、次のうまいものへつなげるための第一歩であります。
なるほど。いよいよ実践の日だったのですね。それで、当日はどのくらい集まりましたか。
はい。集まったのはギルドメンバーのほかに、お二人でした。人数としては、少し控えめではありました。ただ、まあまあ、初回としてはこんなものでしょう。鍋を囲むには、少なすぎず、多すぎず。これはこれで動きやすい人数でした。
ええ、最初のクエストとしては良い人数だったと思いますよ。多すぎると、かえって動きが難しくなりますからね。それで、カレーは何種類作ったのですか。
今回は二種類です。ひとつは、缶のカレー粉を使ったスパイスカレー。もうひとつは、カルディのグリーンカレーの素を使ったグリーンカレーです。
王道のルゥではなく、少し冒険寄りに進んだのですね。
そうなのです。「カレーライスからはじめよう」と言いつつ、気づけばなかなか旅心のある二鍋になっておりました。ただ、どちらも材料をそろえれば作りやすいもので、初回の挑戦としてはちょうどよかったと思います。
それで? 作業はどのように進みましたか。
まずは班分けをして、買い出しから始めました。その日に何を作るか決めても、溝の口は買い物する場所がたくさんあります。ありがたい街です。食材を探すには、まことに便利な土地であります。
ふふ、街そのものもクエストを助けてくれたわけですね。
はい。買い出し班が外へ出ているあいだ、残った人たちは鍋や包丁などを出してくれました。おかげで、戻ってからが実に楽でした。準備ができているというのは、ありがたいものです。料理があまり得意ではない俺でも、「よし、始められるぞ」と思えました。
それは大事ですね。料理の場では、作る人だけでなく、準備する人も立派な担い手です。
まさにその通りです。調理も手分けして行いました。野菜を切る者、鍋を見る者、材料を確認する者。みんなでやると、あっという間です。気づいたら野菜は切り終わっておりました。一人でやれば面倒な作業も、みんなでやると早い。これは発見でした。
共同作業の良さが出ましたね。それで、鍋が煮えるあいだはどうしていましたか。
買い出し班のわんぱく者が、チョリソーを買ってきまして。それをつまみながら、鍋が煮えるのを待ちました。カレーの香りがして、チョリソーがあって、みんなが次は何を作ろうかと話している。なかなか良い時間でした。
いいですねえ。調理の時間だけでなく、待っている時間も楽しめている。それは、とても良い場になっていた証拠です。
はい。「次は何を作ろうか」という話も出ました。あれもいい、これもいい、と楽しげな雰囲気でした。いまのところ、チャーハンが有力候補であります。米も余っていますし。
なるほど。余った米から次のクエストが生まれるわけですね。無駄がなくて、よろしいです。
そして、いよいよ実食です。スパイスカレーは、カレー粉をたっぷり使いました。けれど、思ったほど辛くはありませんでした。人によっては、ガラムマサラを足して食べておりました。自分の好みに合わせて味を足すのも、また楽しいものです。
同じ鍋からよそっても、それぞれの一皿になる。良いですね。
グリーンカレーは、青唐辛子のピリッとした辛さがありました。これがまた美味でした。白い飯によく合います。辛さはあるのに、ついつい次の一口に進んでしまう味でした。
それは成功ですね。食べる手が止まらないというのは、料理にとって一番の褒め言葉です。
さらに、両方を合盛りにしている者もいました。右と左で色の違うカレープレートです。片側はスパイスカレー、片側はグリーンカレー。あれは見た目にも楽しかったです。おかわりも出ました。鍋が減っていくのを見るのは、よいものですな。
ええ。食べてもらえること、もう一度よそってもらえること。それは作った側にとって、とても嬉しいことですね。
はい。大変楽しく、美味しい時間になりました。人数は多くありませんでしたが、そのぶん話もしやすく、手も動かしやすく、食べながら次のことも考えられました。「カレーライスからはじめよう」は、ちゃんと始まったと思います。
素晴らしい報告です。初回のクエストとして、十分な成果がありましたね。食べる、作る、話す、次を考える。その流れが自然に生まれています。
ありがとうございます。カレーもまだまだ種類があります。王道のルゥのカレーも、キーマカレーも、バターチキンも、豆のカレーもあります。それに、チャーハンも気になります。余った米がある以上、次の鍋……いや、次のフライパンが呼んでおります。
ふふ。では、改善点をひとつだけ言うならば、次回は「次に作りたいもの」を最後に少しだけ確認しておくとよいでしょう。その場の楽しい空気の中で出た候補を、きちんと次につなげるためです。チャーハンなのか、別のカレーなのか。候補だけでも残しておくと、次のクエストが立てやすくなります。
なるほど。余韻をそのまま流さず、次の火種として残すのですな。
その通りです。楽しかった、で終わるのも良い。けれど、楽しかったから次は何をしようか、と続いていくなら、もっと良い。それがギルド飯研究部らしさになると思いますよ。
承知しました。次も、うまいものへ向けてコツコツ進めます。この世をうまいもので満たすには、まず一皿ずつ。そして、米が余っているなら、次はチャーハンからはじめるのも悪くありません。
ご苦労さまでした、カレーラス。よいクエストでした。あなたの報告から、鍋の湯気と、楽しそうな声が伝わってきましたよ。
ありがとうございます、セドリック殿。次回も腹を空かせて、いや、心を込めて報告いたします。
「次に作りたいもの」を、楽しい余韻のうちに書き留めておく。それがギルド飯研究部らしさ。出てきた候補は、こちら ──